バドミントン男子シングルス元世界ランキング1位の桃田賢斗(29)が昨18日、日本代表からの引退を表明した。

 世界選手権連覇(2018、19年)を達成するなど、日本のバドミントン会をけん引し続けたが、今年8月のパリ五輪への出場が絶望的となり、第一戦から退く。

 16年には違法賭博に手を染めて無期限の出場停止処分を受け、金メダルが有力視されたリオ五輪への出場が絶たれた。

 翌17年に復帰し、自国開催の東京五輪出場に向け、国際大会で結果を残したが、20年には遠征先のマレーシアで交通事故に遭い、一時は視力が低下するほどの重傷を負った。満を持して臨んだはずの東京五輪では、まさかの1次リーグ敗退。スキャンダル、アクシデントが続いた桃田は「もう世界のトップの人と戦うには厳しい。もう一度、世界を目指すところまで行けないと判断した」と引退を決めた理由を明かした。

 代表としてプレーするのは、今月27日開幕の国・地域別対抗戦トマス杯(中国・成都)が最後。今後は所属先のNTT東日本でプレーしながら、競技の普及やジュニア世代の育成に励むと明かしたが、国際大会に担ぎ出されそうだ。

 ジュニア時代から世界を相手にプレーしてきた桃田はバトミントンが盛んな東南アジアで絶大な人気を誇る。桃田が出場する試合に多くの地元女性ファンが会場につめかけるのは日常茶飯事。その人気を当て込み、BWFワールドツアーでは各国協会から出場オファーが殺到したという。

 東南アジアのファンの間では、攻撃的な桃田のプレーを惜しむ声が少なくない。プレーはできずとも、今後のワールドツアーではアジア各国の主催者やスポンサーから「アンバサダー」として引っ張りだこになりそうだ。

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 桃田の代表引退で、バドミントン協会はさらなる苦境に追い込まれたことになる。

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